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【映画感想】「ブルックリン」- 上京の不安や主人公の決断を丁寧に描いた作品

こんにちは、えこみみです。
映画、ブルックリンを観てきました。

この映画の内容は、簡単に言ってしまうと「上京物語」です。

アイルランドからブルックリンに上京した内気な主人公の女性。 多くの不安や悩みを持ちながらも、恋愛や勉強などで徐々に洗練された女性に変わっていく中、 故郷からの連絡によって、大きな未来の選択を決断することになる…というお話です。

映画全体として、派手さはなく落ち着いた映画でしたが、 主人公の不安や戸惑い、揺れ動き、そして決断などが丁寧に描かれていて、 観ていて応援したくなるような、素敵な作品でした。
上京をした人や、ひとり暮らしをしている人は 彼女の姿や生き方に共感することも多いのではないでしょうか?

女性をターゲットとしたような映画ですが、男性が見ても楽しめる内容だと思います。

また、この映画は「緑色」が印象的です(アイルランドの国旗の色にも入ってますね)。 映画を観る際は、色に注目して観ると、より様々な発見があるかもしれません。

評価:★★★★☆(4/5点)

以下、ネタバレを含む感想を書いています。ネタバレを見たくない人や、未視聴の方は注意して下さい。

映画のストーリー

大人しく目立たない性格の少女エイリシュは、妹の将来を案じた姉の勧めで、アイルランドの小さな町からニューヨークへとやってくる。それまでとはあまりに異なる大都会での生活に戸惑うエイリシュは、しかし、イタリア系移民の青年トミーとの恋をきっかけに大きく変わっていく。洗練されたニューヨーカーとして生き生きと日々を過ごすエイリシュだったが、そんな彼女のもとに故郷からある悲報がもたらされる。

ブルックリン : 作品情報 - 映画.com より引用

公式サイト:映画『ブルックリン』公式サイト

感想

上京直後の不安さに共感

主人公のエイリッシュは、もともと優秀だったのですが、故郷アイルランドの小さな街では仕事が無いため、姉の勧めでブルックリンへと移住します。 しかし、働き始めた高級デパートでは、お客さんや仕事仲間とうまく会話ができなかったり、寮生活にも馴染めずに徐々に自信をなくしてしまい、 やがて、ホームシックになってしまいます。

上京したての頃の不安と期待が入り混じった気持ちや、故郷が恋しくなってしまう気持ちは、見ていて共感しまくりでした。 でも、弱音は他人になかなか吐けずに、ふさぎ込んでしまう(笑)。

私自身も、(もう何年も前に)ひとり暮らしを経験しているのですが、ひとり暮らしを始めた当初は、何でもできそうな期待感や、それとは別に孤独で寂しくなってしまう気持ちがあったことを、映画を見て思い出しました。(まあ、そういう気持ちは自然に無くなってしまうんですけどね…。)

映画では、その後、トニーと出会い、恋に落ちます。それからのエイリッシュはどんどん明るく、垢抜けてきます。恋愛が与えてくれるパワーはすごい、ということを改めて感じました。

ブルックリンに移住した当初は、エイリッシュはグリーン系のコートなど、アイルランドを思わせる色の服をよく着ていたのですが、 だんだんと派手な色の服を着ていくようになります。 印象的だったのは、ビーチにいった時の緑色の派手な水着と、サングラス。サングラスは似合わなくて笑ってしまいました。

帰郷後の揺れ動く心

順風満帆と思われた生活の中で、突然の姉の訃報を聞きつけて、エイリッシュはアイルランドへ帰郷します。 最初は姉の葬儀のためだけに帰郷する予定だったのが、なんだかんだで、アイルランドの裕福な男性であるジムといい感じになったり、 簿記の資格を活かした仕事を任されたり、一人になった母親が気がかりになったりして、なかなかブルックリンに戻れなくなります。

アメリカで結婚をしていながら、地元にいるジムとも結婚を意識した付き合い(ご両親とも面会したり)をする姿は、 少し「おいおい」と思ってしまいましたが、 地元でうまく物事が進みそうであれば、地元に残りたいというのもわかる気がします。

実際、ブルックリンに渡ったのも仕事が無いからだったので、最初は不本意だったはず。 地元には、姉を失って一人になってしまった母親もいるし、気の合う友人もいる。 恋人も仕事もそこにあれば、気がかりはブルックリンにいるトニーだけになるんですよね。 「このままブルックリンへ戻っていいのか?」と悩むのも、仕方がないのかなと思います。

決心

そんな彼女は、映画の冒頭に登場した意地の悪いおばあさんの発言が決め手となって、ブルックリンへと戻る決心をします。 でも、私は、おばあさんの発言は最後のひと押しであって、 エイリッシュはすでに、アイルランドでの生活が、物足りなくなっていたのではないかなと感じました。

地元に戻ってからのエイリッシュは、カラフルな服装にあのサングラスを装着するなど、 ファッション的に派手になっていて、少し「浮いている」感がありました。 また、地元の友人とビーチに遊びに行った時も、アメリカ式の水着の着替え方(最初から水着を着ていく)をするエイリッシュに対して、 友人は「そんなこと考えもしなかった」と驚くなど、少し田舎っぽい感じです。 ブルックリンで色々な経験をしたエイリッシュにとっては、 アイルランドの人々や雰囲気の変わらなさに、魅力を感じなくなっていたのではないかなと思いました。

そこに、意地悪おばあさんの一言が最後のひと押しとなって、決心をしたのではないでしょうか。

でも、ジムとの別れの場面は、かなりジムが可哀想でしたね。 あれだけ好意を寄せていたのに、別れの時は玄関に手紙をこっそり出しておくだけで、面と向かっての別れの挨拶は無し。 映画の中でも、かなりサラッと流されていて、映画の中でも可哀想でした(笑) そのあとのジムは、かなりショックを受けていたのでは…。

ラスト

そして、ラスト。ブルックリンでエイリッシュがトニーを待つ場面が、ブルックリンのポスターの場面。 私はこの場面になるまで、ブルックリンの街の雰囲気があまり印象に残っていなかったのですが、 この場面を観ただけで、ブルックリンに行ってみたくなりました。とても印象的でした。

エイリッシュがした決断が、正しかったのか間違っていたのか、というのは正解が無いと思います。 どっちを選んでも、この先で色々な出来事が起こるだろうし、選択をやり直すことはできません。 だからこそ、様々な人と関わって、自身も悩んで、最後に決断をしたエイリッシュに対して、 私は「頑張れ」と応援したくなったのだと思います。

そのほか気になったところ

色々な対比

この映画は、色々な対比があって、見せ方が上手いなと思いました。 一番印象的だったのは、最初と最後の、ブルックリンに向かう船での対比です。 エイリッシュの成長が分かるようになっていました。

また、トニーとジムも、まったく正反対のキャラだったり、 ブルックリンとアイルランドのビーチの対比、 そして、地元に残った姉と、移住したエイリッシュの人生も対比ですよね。 様々な対比が示されているからこそ、エイリッシュの決断がより印象深くなったのかもしれません。

トニーの生意気な弟が愛しい

トニーの弟の生意気なガキが、マセている感じがよかったですね。 なんだかんだでムードメーカーであったり、兄を思いやっている姿が愛おしかったです。 この映画は、ところどころ微笑ましく笑える場面があり、いいアクセントになっていました。 ストーリー自体は、地味めではありますが、こういうほっこりする場面が素敵でした。

最後に

恋愛部分に関しては、少し軽薄かな、と思うような場面もありましたが、 エイリッシュの成長物語として、生きていくうえでの不安、葛藤や、それを決断する意思、など、 私たち自身にも大きく共感できる内容を、丁寧に描いていた素敵な作品だったと思います。