【映画感想】 コメディだけ期待していると観るのが辛いかも?「帰ってきたヒトラー」(2016)
こんにちは、えこみみです。
映画、帰ってきたヒトラーを観てきました。
映画館やyoutubeで流れていた予告編では、結構、コミカルな場面が多かったので、それを期待して観に行ったのですが、 実際に観にいくと、結構、笑いのポイントが難しい。
ブラックコメディが多いのと、ヒトラーという人物像、ナチスドイツ、 現ドイツの政治について知識が求められる内容が多かったのか、 私にはコメディの意図が読み取れないものが結構ありました。
なので、コメディだけを期待して観に行くと、観るのが辛い映画かもしれません。
ただ、無条件に笑える場面もあったし、有名なあの場面のパロディはバッチリ笑ってしまったし、 最後は気付かされた点もあり、全体としては面白かったです。見る人を選びそうな映画だと思いました。
なお、公式サイトでも書かれていたのですが、「ヒトラー ~最期の12日間~ 」(ニコ動などでよく嘘字幕が作られるアレです)を観に行ってから、 この映画を観たほうがいいようです。(私は観てなかった)。
評価:★★★☆☆(3/5点)
以下、ネタバレを含みそうな感想を書いてますので、注意してください。
映画のストーリー
ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?
「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。
リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、
長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。
自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、
過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、
大衆の心を掴み始める。
序盤は、タイムスリップをしてきたヒトラーと、テレビマンのファビアン・サヴァツキが、 ドイツ各地を回って、色々な人に今のドイツのことをどう思っているのか、話を聞いたりしています。 顔にモザイクがかかっていたり目線が入っている人たちも沢山登場するので、 実際に、ヒトラーの姿のまま、一般人に話を聞いたりしていたんでしょうね。ドキュメンタリー番組のようでもあります。
後半では、テレビやインターネットを駆使して、ヒトラーが演説を繰り広げます。 持ち前のカリスマ性や指導力、行動力から、やがて、ヒトラーは人々の心を掴み始めます。
感想
最初はコメディタッチで面白い
物語の序盤は、コミカルに描かれている場面が多くて面白かったです。
ドイツのメルケル首相を「太った中年女性」と称したり、軍服がガソリン臭いと言われて
クリーニングに出したあと、似合わないポロシャツ服を着て戻ってきたり。
ところどころ、笑ってしまいました。
また、ドイツ各地を回っている最中に、資金が底をついてしまうのですが、
そこで考えた稼ぎの手段が、ヒトラーの似顔絵描き。
絵が実に下手味のある絵だったのが印象的でした。
これ、実際の通行人に対して描いているような感じだったので、
ヒトラー役のオリヴァー・マスッチが、頑張って描いた絵なのかもしれません。(実際のヒトラーならもう少し上手い気がする)
現ドイツの問題がわかってくる
この映画は、演者がヒトラーの格好をしたまま、ドイツ各地をまわり、実際に色々な人に、 ドイツの現状について話を聞いています。 ヒトラーの姿をしているだけで、嫌悪感をあらわにする人もいるのですが、 有名人のごとく、写真を取りたがる人、好意を寄せる人も多かったことにビックリしました。
私は、マイケル・ムーア監督の「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」という映画を以前に観たのですが、その中でドイツの教育は、ヒトラーが行っていた歴史を直視するような、徹底した教育として紹介されていました。なので、ヒトラーに好意を寄せる人はいないんじゃないかと思っていたのですが、 実際はそんなことはなく、そんなに単純じゃないんだな、と感じました。
また、ドイツでも、難民の受け入れの問題、出生率が低下している問題、
貧困の問題、などなど、ドイツの取り巻く問題が、この映画を通じてリアルにわかってきました。
イギリスが難民受け入れを問題の一端としてEU離脱をしたのも、本当にタイムリーでしたね。
話は徐々に怖くなっていく
中盤になるにつれて、ヒトラーは多くのテレビに出演することになります。 そこでの演説は、テレビの視聴者を釘付けにするほど魅力的で、視聴者含め、映画を観ている私たちも、 ヒトラーに魅入られていくようになります。
現ドイツの問題点をビシっと指摘をする様や、はっきりとモノをいう姿は、観ていてカッコいいし、スカッとする。 彼に任せれば、いい方向に向かうのではないかと思ってしまう。 映画を観ている私も「ヒトラー、カッコいいな」と思ってしまうほど。
映画の中の人々は、大戦で「ヒトラー」がやってきたことを教育で皆知っています。 なのに、「ヒトラー」に扮した人物の演説を聞いて、ヒトラーに魅入られていってしまう。 その場面から、当時のドイツが、なぜ、ヒトラーを崇拝してしまったのか、と考えると、 決して、過去の話ではなく現代でも起こりえることなのだ、と思わされます。
日本でも、カリスマ性の高い指導者が、熱狂的な支持を集めることがありますが、 それを思うと、日本でも同じような事が起こる可能性はあるんだな、と感じ、怖くなりました。
ユダヤ人のおばあちゃんの「最初はみんなそうやって笑っていたんだ」という台詞が印象的でした。
ニコ動でよく見るあの場面のパロディがでてくる
この映画、ニコ動を観ている人にはおそらく馴染みが深い、あの場面のパロディが出てきます。 不意に出てくるのですが、出てきた瞬間から、私はニヤニヤがとまりませんでした。 ドイツ人にも、注目されている場面なのでしょうか?
あとこれだけは言いたい
テレビ局の受付嬢で、テレビマン サヴァツキの彼女である、フランツィスカ・クレマイヤー(フランツィスカ・ウルフ) が可愛いです!!
(公式サイトの背景画像の左の女の人)
最後に
コメディを期待して観に行ったので、コメディ部分はなかなか理解できず、悲しい感じでした。
「最後の12日間」 を観てから行けばよかったなぁと後悔。
それでも、この映画の強いメッセージ、危機感を感じることができて良かったです。
これから観る方は、ヒトラーや、ドイツについて少し調べてておくと、より楽しめると思います。
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